イギリスGP概要
2017年F1 Grand Prix – Round 10 イギリスGP。
イギリスGPが開催されるシルバーストーンサーキットは、1950年にF1世界選手権が初めて開催された年の、開幕戦となったサーキットである。ロンドンから北西におよそ100kmほどの距離で、公共交通機関が遠いため、レースウィークの大渋滞が名物であった。
第二次世界大戦中に使用された飛行場を改装して作られたサーキットは、何度かの改修を経て2010年に現在の形になっている。昔は五角形の、高速ストレートをコーナーでつないだだけの超高速サーキットであったが、現在は低速のアリーナセクションと、それ以外の中・高速区間に分かれ、マシンセッティングが非常に難しくなった。また、天候が変化しやすく、レース展開に影響を与えることもしばしばある。
1周5.891kmのコースを52周し、計306.198kmで争われる。
Q1セッション
予選は現地時間13:00(日本時間21:00)から開始され、18分間で争われる。タイムの下位5台が脱落し、16位~20位を決定するノックアウト方式である。
前戦でポール・トゥ・ウィンを飾ったValtteri Bottas(Mercedes)は規定外のギアボックス交換により5グリッド降格、前戦3位表彰台を飾ったDaniel Ricciald(Red Bull)も同様の理由により5グリッド降格となっている。また、Fernando Alonso(McLaren)はパワーユニットに関する部品を計5基交換することにより、合計30グリッドの降格が決まっている。
予選開始時の天候は小雨、気温17℃、路面温度21℃となっており、タイヤを早く暖めることがポイントとなる。
Q1セッションが開始されたが、天候が不安定なため、各チームのタイヤの選択が分かれた。Max Verstappen(Red Bull)、Stoffel Vandoorne(McLaren)、Nico Hulkenberg(Renault)、FerrariのKimi Raikkonen、Sebastian Vettelはインターミディエイト、Force Indiaの2台とSauberの2台、Mercedesの2台はスーパーソフトを選択した。
開始早々、Verstappenは無線でインターミディエイトの状況だと無線で伝え、Force India勢とMercedes勢はスーパーソフトを諦めピットインし、タイヤをインターミディエイトに交換する模様。
結局、全てのマシンがインターミディエイトでQ1セッションを闘う模様。
途中、Daniel Riccialdがコース脇にマシンを止め、セッションが赤旗により中断された。どうやらエンジントラブルの模様。Riccialdのマシンはマーシャルによりガレージへと運ばれている。
Q1セッションは残り10分ほどだが、現在ノックアウトゾーンにはLance Stroll(Williams)、Kevin Magnussen(Haas)、Jolyon Palmer(Renault)、そしてMarcus Ericsson、Pascal WehrleinのSauberの2台がいる。その上15番手にFernando Alonso(McLaren)がいるといった状況である。
セッションが再開され、雨は弱くなったものの、路面はウェットな状態のままで、Raikkonenには無線で、あと3分ほど雨が降り続くようだとチームが伝えている。
残り5分を切り、次々とマシンがコースインしてくる。雨が上がり、徐々に路面が乾いてきた。
Alonsoは最後に賭けに出て、タイヤをスーパーソフトに交換し、ギリギリでラストタイムアタックを行い、なんとトップタイムを刻んでQ1セッションを終了。Vandoorneは8番手でQ1セッションを終了した。この奇跡によりシルバーストーンでは大歓声が上がっている。
なお、脱落した5台は以下の通り。Daniel Riccialdはトラブルでマシンをストップした影響で最下位となった。
POS. | Driver | Team | Time |
---|---|---|---|
16 | Lance Stroll | Williams | 1:42.573 |
17 | Kevin Magnussen | Haas | 1:42.577 |
18 | Pascal Wehrlein | Sauber | 1:42.593 |
19 | Marcus Ericsson | Sauber | 1:42.633 |
20 | Daniel Ricciald | Red Bull | 1:42.966 |
Q2セッション
Q2セッションは15分間で争われ、下位5台が脱落し11位~15位となるノックアウト方式である。
Valtteri Bottasはソフトタイヤ、その他の14台のマシンは全てスーパーソフトタイヤをチョイスしている。雨が上がり、ところどころに水たまりはあるものの、ドライタイヤでほぼ問題無く走れる状態だ。
時間と共にコース状態は改善されており、タイムアタックのタイミングが非常に重要となってくる。
残り時間2分ほどとなり、競争が激しくなってきた。Raikkonenがトップタイムをマークすると、直後にVettelがそのタイムを上回るといった状況で上位争いも激しい。
Stoffel Vandoorneが8番手のタイムを出せば、Romain Grosjean(Haas)がそのタイムを上回り、さらにSergio Perez(Force India)がそのタイムを上回ると言った状況でVandoorneは10位ギリギリの所。しかし、これを上回るタイムを出すマシンがなくそのままQ2セッションは終了。Alonsoは13番手止まりでQ2脱落したものの、Vandoorneは今季初めてQ3進出を果たした。
Q2敗退した5台は以下の通り。
POS. | Driver | Team | Time |
---|---|---|---|
11 | Jolyon Palmer | Renault | 1:30.193 |
12 | Daniil Kvyat | Toro Rosso | 1:30.355 |
13 | Fernando Alonso | McLaren | 1:30.600 |
14 | Carlos Sainz | Toro Rosso | 1:31.368 |
15 | Felipe Massa | Williams | 1:31.482 |
Q3セッション
少し時間をおいてQ3セッションが始まる。Q3セッションは12分間で争われ、上位10台のグリッドを決める戦いである。
Q3セッションでは全車、スーパーソフトタイヤを装着し、コースイン。雨は完全に上がっている模様。
全車、最初のアタックを終えてピットに戻り、最後のアタックに備えている。暫定ポールポジションはLewis Hamilton、以下、Sebastian Vettel、Valtteri Bottas、Kimi Raikkonenといった状況である。
そして、最後のアタックに全車が挑む。めまぐるしく順位が入れ替わる中、最後の最後でHamiltonが1:26.600のトップタイムを刻み、他のマシンはこれに及ぶことはなかった。これでHamiltonは今季6回目、通算67回目のポール・ポジション獲得となり、Michael Schumacher(Germany)が持つ歴代最多記録68回にあと1つと迫った。初のQ3進出となったVandoorneは予選9位を獲得した。
その他、Q3の結果は以下の通り。
POS. | Driver | Team | Time |
---|---|---|---|
1 | Lewis Hamilton | Mercedes | 1:26.600 |
2 | Kimi Raikkonen | Ferrari | 1:27.147 |
3 | Sebastian Vettel | Ferrari | 1:27.356 |
4 | Valtteri Bottas | Mercedes | 1:27.376 |
5 | Max Verstappen | Red Bull | 1:28.130 |
6 | Nico Hulkenberg | Renault | 1:28.856 |
7 | Sergio Perez | Force India | 1:28.902 |
8 | Esteban Ocon | Force India | 1:29.074 |
9 | Stoffel Vandoorne | McLaren | 1:29.418 |
10 | Romain Grosjean | Haas | 1:29.549 |